物件の話しかできない不動産投資コンサルタントと付き合う必要はありません。
ただ、その前提として信頼のおける不動産投資のコンサルタントを選ぶ前にやるべきことが二つあります。
それは、商品を選ぶこと、そして会社を見極めることです。
なぜなら、コンサルタントといっても、コンサルティング業で食べているわけではなく、不動産の販売手数料、紹介手数料によって、収益を上げています。
つまり、不動産投資コンサルタントは営業マンでもあるのです。
いくらコンサルタントが信頼できたとしても、提案される内容は、コンサルタントが所属する不動産会社やコンサルタントが紐づいている会社の取り扱う商材に偏ってしまいます。
また、不動産会社によって投資スタイルはほぼ決まっています。
アパート専門にやっている会社、ワンルームに特化した会社、さらにそのなかで新築、中古、エリアなど、投資スタイルは様々です。
そのため、コンサルタントを選ぶ前に、自分自身がまずどのような投資スタイルが適しているのか、そしてその投資スタイルを実現できる不動産会社を見極めることが先決です。
信頼のおける不動産投資コンサルタントを選ぶステップ
1. 商品(不動産投資の種類・投資法)を見極める
2. 会社を見極める
3. コンサルタントを見極める
まれに人柄が信頼できるからコンサルタントの言うがままに、収益物件を購入される方がいますが、これは大変危険な行為です。あくまで、提案を第一に考えるべきです。
このコラムでは、あなたにあった投資スタイル、会社の選び方から、信頼のおける不動産投資コンサルタント選びの3つの基準をお伝えしていきます。
不動産投資体験談
目次
1. コンサルタント選びの前に商材と会社を選ぶ
国内において提案に対して報酬を得ることで生計を立てられる不動産投資コンサルタントは、ほとんどいません。
名刺に「コンサルタント」と記載されていても、会社に所属する営業マンであることがほとんどです。
彼らは、最終的には自社が扱う商材に投資をしてもらうことで、売上をあげています。
だからこそ、コンサルタントを選ぶ前に、あなたの投資スタイル、そして投資スタイルを実践できる不動産会社を見つけることがおすすめです。
1-1 投資スタイルを決める
コンサルタントは営業マンですから、彼らの目的は取扱い商品の販売です。
ただ、営業マンだからといって、提案が無価値であることはまったくありません。取り扱う収益不動産を活用して、資産形成が円滑に進むよう提案してくれる営業マンたくさんいます。
一方で、あくまでも資産形成の手段はコンサルタントである営業マンが所属する不動産会社の商材に限定されることがネックとなります。
そのため、まずはあなたが不動産投資を行うにあたって、どのような投資スタイルで進めていくのかを決めてから、コンサルタントを選んだほうが賢明です。
なお、不動産投資のスタイルはおおむね以下の4つに分類されます。
・新築アパートマンション投資
・中古アパートマンション投資
・新築ワンルーム投資
・中古ワンルーム投資
これら4種に加えて、立地(大都市圏、地方郊外狙い)を加味して、投資のスタイルが決定します。
それぞれの投資の特徴については、こちらの記事を参照にしてください。
1-2 信頼のおける会社を見極める
興味の持てる投資スタイルが決まったら、その投資を実践できる不動産会社を探して、コンサルタントを紹介してもらいます。
この際、信頼のおける会社を見極めることも、将来の収益性に大きく影響してきます。
また、ここで指摘する「信頼」の定義は、投資家をだまさない誠実さ、購入した後に不動産会社が倒産しない財務健全度、賃貸管理の業務遂行力(空室解消力)としております。
◆信頼のおける会社の条件
(誠実さ)
・評判
「会社名 評判」と検索することで、会社の実態についてある程度把握することが可能です。
また、最近では社員の口コミ情報をまとめた転職情報サイトもあるのでこちらもあわせて確認してみましょう。
・オーナー数
オーナー数が多いことは重要ですが、継続して増え続けている点も重要です。商品やサービスが優れていなければ、顧客が増えることはありません。
(財務健全度)
・管理戸数
一定数の管理戸数があれば、管理手数料がストック収入となるので財務基盤も安定的です。
ワンルームマンションを取り扱う会社であれば、10,000戸もあればトップクラスの管理戸数です。おおむね5,000戸程度あれば安心できる領域でしょう。
・創業年数
創業年数が新しい会社よりも古い会社の方が財務基盤も安定的です。10年未満の会社の場合、会社の成長スピードは速かったとしても、手元現金が脆弱な場合が少なくありません。
(賃貸管理の業務遂行力)
・入居率
おおむね95%の入居率が目安となります。2018年下期の入居率はそれぞれ次の通りです。(日管協短観より)
2017年下期 | 2018年上期 | |
首都圏 | 95.5% | 93.5% |
関西圏 | 96.4% | 97.5% |
都内であれば98%以上の入居率は確保しておきたいところです。
2.信頼のおけるコンサルタントの3条件
ここからは信頼のおけるコンサルタントの3つの条件について詳しく解説していきます。
◆信頼のおけるコンサルタントの3条件
1. ファイナンスをアドバイスができる
2. 自分でも投資している
3. ブレーキをかけてくれる
2-1 ファイナンスのアドバイスができる
あなたが望んた投資スタイルに見合った物件を紹介してくれることは最低限の条件です。
不動産投資で物件選びと同じくらい重要なポイントが、いかに資金を活用していくかということです。
自己資金をどのように活用していくのか、ローンが減ってきた場合、繰り上げ返済したほうが良いのか、さらに追加で買ったほうが良いのか。
突き詰めれば、「購入時の自己資金」「家賃収入」「繰り上げ返済資金」3つのお金の動かし方で資産の拡大のスピードが異なります。
(事例)
300万円の自己資金をつかって不動産投資をスタートする。
購入および借入条件:
物件価格2,000万円 / 手取り利回り4% / 手取り家賃収入 80,000円/月
借入期間30年 / 金利1.7% / 借入期間30年 / 返済額 70,960円/月
・自己資金を複数戸に分散する
自己資金300万円を3つの物件に100万円ずつ頭金として充当します。
この場合、空室や家賃下落、税金等を考慮しなければ、借入期間終了後にはローンが完済され、ローンのないマンションを3つが出来上がる予定です。
・自己資金を1つの物件に集中する
自己資金を300万円をひとつの物件に投資をした場合、借入期間満了時にはローンのないマンションは1戸だけです。
マンション戸数は少なくなりますが、自己資金を多めに入れているので、金利上昇リスクや長期の空室でも十分な余裕をもって対応することが可能です。
つまり、資産形成のスピードを加速させたければ、同時に複数のマンションをローン購入したほうが有利になります。
一方で、自己資金を集中させた場合、資産形成のスピードは落ちますが、リスク許容度が高まります。
数百万円の自己資金は簡単には貯められません。
それだけに、あなたがいつまでにいくらの家賃収入を得たいのか、そしてどれだけリスクを許容できるかを判断して、最適な資金計画を立ててくれるコンサルタントが重要になってくれるのです。
2-2 自分でも投資している
コンサルタント自身も不動産投資を実践していることは「最低限の条件」です。
不動産投資で成功するためには、解説者ではなく実践者のアドバイスに沿って行動したほうが成功の確率が高まることは必然です。
投資を実践しているのか、どれぐらいの家賃収入を得ているのか、コンサルタントに確認しましょう。
参考記事
不動産投資の営業マンが自分で投資しないのに売り込んでくる理由
2-3 ブレーキをかけてくれる
コンサルタントが営業マンであることは前述したとおりです。
そのため、彼らにとってはコンサルティングを通じて、収益不動産を販売することがゴールです。
いくらコンサルタントと投資のスタイルが一致していたとしても、買うべきタイミングではないときもあります。
例えば、あなたが不動産を購入したいと思っても、ローンを借りすぎている場合や近い将来に自宅の購入を検討しているときなど、必ずしも購入すべきではないタイミングもあります。
購入を一辺倒に進めるのではなく、「いまは買うべきではない」とアドバイスをしてくれるかどうかも重要なポイントです。
3.GNP(義理・人情・プレゼント)に気を付ける
義理(G)・人情(N)・プレゼント(P)を利用して営業行為を行うことをGNP営業とよびます。
ひと昔前の伝統的な保険のセールスレディが行う保険営業を思い浮かべてもらえればよいでしょう。プレゼント攻勢や友人・知人からの紹介、付き合いなどを通じて保険をセールスに用いてきました。
こうした行為を受けていると、知らぬ間にコンサルタントに貸しを作ることになります。
「返報性の法則」というものがあります。
簡単にいえば、人は借りを作ると負い目を感じて、借りを返したくなるというものです。
そうして、肝心なツケを払うことになるのです。
あなたにとって、よいコンサルタントの条件は資産形成に役立つ提案・サポートをしてくれる人です。順番を逆にしてはいけません。そのうえで、人柄、相性が良いことは言うまでもないことです。
まとめ
コンサルタントの力量はあなたの将来の資産額を大きく左右します。だからこそ、コンサルタント選びは大変重要です。
しかし、コンサルタント選びの順番はあくまでもあなた自身が「不動産投資のスタイル」を選び、「スタイルを実践できる会社」を選んだあとの話です。
コンサルタントにすべてを委ねることはお勧めできません。ご家族の将来のことを誰より真剣に考えてくれる人はコンサルタントではなく、あなた自身です。
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