不動産投資や株式投資、iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)など、様々な方法がある資産運用。それぞれ制度も異なり、どれが自分にあっているのだろうと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に比較的新しい制度であるiDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)は、「聞いたことはあるけど、どんな仕組みなのか分からない」という人も多いはず。
自分にあったバランスの良い投資をするためには、まず金融商品の仕組みを正しく理解し、自分の投資目的にあったものを選択することが重要です。
今回は、iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)とはどのようなものなのか、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを、他の金融商品や不動産投資との併用方法とあわせてご紹介します。
不動産投資体験談
目次
資産運用と資産形成
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)の説明に入る前に、「資産運用」の意味を正しく理解しておきましょう。
みなさんは、「資産運用」、「資産形成」という2つの言葉の違いをご存じでしょうか。「聞いたことはあるけど、きちんと説明はできない」という方も多いのではないかと思います。
「資産形成」は、簡単にいうと資産を増やしていくことを意味します。
「資産形成」をするには「貯蓄」と「運用」の2つの方法があり、資産が十分な量に達するまでは「貯蓄」の方が効率的かつ確実に資産を増やせます。
「資産運用」は文字通り資産を運用することを意味しており、「資産形成」の一部といえます。一般的に、資産を運用する場合は十分な額の資産を形成してからの方が望ましいとされています。これは、元手が少ない状態だと運用により得られるリターンが少ないためです。資産運用は経済状況を把握するために毎日ニュースをチェックしたり金融商品の研究をしたりと労力がかかります。得られるリターンが少ないと、労力に見合った利益に満たない可能性があるのです。
とはいえ、できるだけ早くより大きなリターンを得られる可能性のある「資産運用」に挑戦したいという方もいるのではないかと思います。
そのような場合におすすめなのが、少額からでも投資が始められる、iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)です。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)の違い
では、iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)とはどのような仕組みなのでしょうか。ここからは、それぞれの仕組みと違いをご紹介します。
iDeCo(イデコ)は、加入者が毎月一定額の掛け金を拠出し、自分で運用して得られた資産を年金として受け取れる個人型確定拠出年金です。掛金の金額には職業や公的年金の加入状況により異なる上限があり、月々5,000円~上限額の範囲であれば、1,000円単位で任意の額を設定することができます。
拠出額は全額所得控除の対象になるほか、iDeCo(イデコ)で得た運用益は通常資産運用で得た運用益にかかる税金20.315%がかからないため、節税をしながら年金資産を作ることができます。さらに、年金を受け取る際も「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象となるため、税金はかかりません。
つみたてNISA(積立NISA)は、年間120万円まで非課税で投資ができる少額投資非課税制度です。 金融庁の定める基準を満たした長期・積立・分散投資に値する金融商品が対象となっています。
iDeCo(イデコ)と同様に運用益にかかる税金が非課税となるため、節税しながら資産運用をすることができます。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)には大きく3つの違いがあります。
1つ目は、運用期間の長さです。iDeCo(イデコ)は加入から60歳まで運用可能で、10年間までは期間の延長も可能です。これに対し、つみたてNISA(積立NISA)の運用期間は最大20年間です。このため、税制優遇を受けられる期間が異なります。
2つ目は、換金可能なタイミングです。加入者が病気や怪我をした場合、死亡した場合などの一部例外はあるものの、iDeCo(イデコ)は原則的に60歳まで換金ができません。これに対し、つみたてNISA(積立NISA)はいつでも換金可能であるため、運用期間中でも大きなお金が必要になったタイミングで資産を引き出すことができます。
3つ目は、選べる商品の幅です。iDeCo(イデコ)で選べる商品は、国内や海外の株式・債券・REIT(不動産投資信託)やコモディティ(金など)、バランス型などの元本変動型のリターン狙いの商品から預貯金型といった元本保証型の低リスクの商品まで、幅広い商品があります。一方つみたてNISA(積立NISA)は、金融庁が定めた長期・積立・分散投資に適した投資信託の要件に当てはまるもののみが対象となっており、リターン狙いの商品が中心です。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)のメリットとデメリット
金融商品を選ぶうえでは、各商品のメリットとデメリットもしっかりと理解しておくことが重要です。ここからは、iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)それぞれのメリット、デメリットについて解説していきます。
iDeCo(イデコ)のメリットとデメリット
iDeCo(イデコ)のメリットは、月々の掛金、資産の運用益、受取額のすべてで税制優遇を受けられることです。
前述のように、iDeCo(イデコ)の掛金は全額所得控除の対象となります。また、通常金融商品の運用益にかかる20.315%の税金も非課税です。
さらに、運用した資産は「一時金」「年金」「一時金と年金の両方」という3つの方法のなかから選択して受け取ることができますが、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。
つまり、節税しながら老後に向けた資産を形成することができるのです。
デメリットとしては、原則として60歳まで換金ができず、急に大きなお金が必要になった場合に使用できない点があげられます。
また、保険会社が運用してくれる個人年金保険と異なり、自分で商品を選択して運用するため、対象となる金融商品の商品知識が求められる点や制度加入時の加入手数料、運用時の口座管理手数料がかかる点にも注意が必要です。手数料は運営管理機関により異なるため、事前にしっかりとチェックしておきましょう。
つみたてNISA(積立NISA)のメリットとデメリット
つみたてNISA(積立NISA)のメリットは、いつでも換金ができる点です。教育資金のようにライフイベントに伴い資産を利用したくなった場合、好きなタイミングでお金を引き出すことができます。
また、対象商品が多くの金融商品にある販売手数料のかからないものに限定されていることもメリットのひとつといえるでしょう。
デメリットは、一度売却すると非課税枠が復活しない点です。このため、その年の非課税枠40万円を使い切っている場合は同じ年内に他の商品への乗り換えができません。
また、通常短期的な投資の場合は早いうちの損切が必要となりますが、他の金融商品の特定口座の取引と損益通算ができないため、損切をしにくい点や確定申告による3年間の損失繰り越し処理の対象外である点にも注意が必要です。
NISAの最新情報
最近では、2020年度の税制改正でつみたてNISA(積立NISA)を含むNISA全体の制度が変更されました。
つみたてNISA(積立NISA)に関しては、新規で投資できる期間が2042年まで延長されました。このため、2023年までにつみたてNISA(積立NISA)を始めれば、つみたてNISA(積立NISA)で運用可能な最長期間である20年間の積み立て投資が可能です。
また、NISAの一種として2016年に始まった「ジュニアNISA」の廃止も同時に発表されました。このように制度自体がなくなることもあるため、ニュースは定期的にチェックするようにしましょう。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)を両方使うべき人とは?
老後や10年以上先のライフイベントに向けた資金を貯めたい30~40代の方には、iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)の併用がおすすめです。
30~40代であれば、iDeCo(イデコ)で運用した資産を受給するのに必要な10年以上の加入期間を満たすことができ、老後に向けて十分な資産を形成・運用することができます。また、つみたてNISA(積立NISA)も利用することで、60歳までに大きなお金が必要になった場合も対応が可能です。
ただし、投資の利回りは安定するまでにある程度の期間が必要となります。このため、つみたてNISA(積立NISA)の資産を利用したいライフイベントがある場合は、引き出しまでにある程度の期間を確保できるよう、できるだけ早めに利用を開始するのがいいでしょう。
もちろん、人生設計ができている状態であれば20代からこれらの金融商品の併用を始めてもいいでしょう。しかし、収入が安定していないうちや貯蓄が少ないうちは、より安定的に大きな収入を得られるよう自己投資にお金を使うことも検討してみてください。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)を両方使うべきではない人とは?
少額での資産運用ができるiDeCo(イデコ)とつみたてNISA(積立NISA)ですが、預貯金がほとんどない人や家計が安定していない人は、どちらも使うべきではありません。
先にも触れましたが、「運用」は「貯蓄」により十分な資産を形成した状態で行うのが望ましく、資産が乏しい状態で資産の運用を始めるとコストに見合うリターンを得られない可能性があります。また、対象商品にもよりますが、運用には多少なりとも損失が発生するリスクが伴います。このため、余裕をもって生活できる収入や貯蓄がない状態の場合は、まず確実に資産形成ができる「貯蓄」から始めるのがおすすめです。
金融商品や不動産投資との併用方法
節税やリスク分散の観点から、iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)と他の金融商品や不動産投資との併用も検討してみるとよいでしょう。
例えば、より大きな節税効果を得たい場合は、iDeCo(イデコ)に加えて個人年金保険を併用する方法があります。個人年金保険の掛金は、iDeCo(イデコ)に適用される控除とは異なる生命保険料控除の対象です。このため、生命保険料控除の範囲内であれば、iDeCo(イデコ)と併用することでより節税しながら年金額を大きくすることができます。
また、リスク分散をしたいのであれば、つみたてNISA(積立NISA)と不動産投資を併用する方法を検討してみてください。一般的に、つみたてNISA(積立NISA)の対象商品である投資信託やETFなどの金融商品の相場と東京オフィス相場の相関性は低いと言われています。このため、どちらかの運用で損失が出た場合も他方で運用している資産によって一定の資産を保つことができます。
まとめ
税制優遇を受けながら、資産運用に挑戦できるiDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)。収入や他の金融商品への投資額とのバランスを見ながら無理のない範囲で老後やライフイベントに向けた資産形成ができるのが魅力的なポイントです。
「まずは少額から投資を始めてみたい」、「将来に向けて資産運用に挑戦してみたい」という方は、ぜひ一度検討してみてください。