「3000万の貯金がないと老後がヤバイらしい・・・」「でも同僚に貯金額なんて聞けないし・・・」老後のことを考えるだけで不安がつきまとい、気分が憂鬱になってしまっていませんか?
実際に必要な老後の資金額は夫婦で3000万円程度と言われています。もちろん家族構成や、ローンの支払い、健康状態などのあらゆる要素を考慮するとばらつきはありますが、目安として3000万円の貯金があれば老後の生活に大きな支障はないと言えるでしょう。
そこで本記事では、夫婦(2人暮らし)の老後資金必要額が3000万円である根拠と、最高に楽しい老後を迎えるために今やっておくべき5つの準備をご紹介していきます。あまり知られていない老後資金を集める方法もご紹介していきますので、ぜひご参考ください。
不動産投資体験談
目次
1.老後資金の必要額
この章では夫婦の老後資金必要額について解説していきます。
※老後資金の必要額は、家族構成や住宅ローンの有無、寿命、健康状態、勤続年数など、あらゆる周辺要素によって変動します。本記事で用いる数字は、あくまでも平均的な目安としてご理解ください。
1−1.最低でも準備しておきたい資金額
結論から言うと、最低でも3000万円は準備しておく必要があります。現在あなたが35歳だとするなら、60歳までの25年間で毎月10万円ずつ貯金すれば3000万を準備することができる計算になります。
1−2.なぜ3000万円必要なのか
それでは、なぜ夫婦で3000万円もの資金を準備する必要があるのでしょうか?その根拠を解説していきます。まずは下記をご覧ください。
平均寿命 | 60歳から寿命まで | 生活費(2人) | 生活費(1人) | |
男性 | 83.14歳 | 23年 | 約28万円/月(×23年間) | – |
女性 | 88.47歳 | 28年 | 19.5万円/月(×7年間) |
仮に、60歳の夫と2つ年下の妻がそれぞれの平均寿命まで生きるとします。
総務省「平成28年 家計調査報告(家計収支編)」によると、毎月の生活費は約28万円が必要です。夫が83歳で亡くなるまでの23年間で計算すると約7,700万円が夫婦の生活費となります。
その後、妻1人分の生活費を7割で計算すると、88歳で亡くなるまでの7年間で約1640万円。合わせると約9,300万円が老後に必要な生活資金です。
現在の公的年金の受取額は夫婦で月額約23万円です。(夫が会社員、妻が専業主婦という厚生労働省のモデル世帯)夫が65歳から年金を受け取り、夫が亡くなってから妻が遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)を受け取った場合、年金受給総額は約6,000万円になります。
つまり、老後の生活資金9,300万円から年金受給総額の約6,000万円を差し引くことで、約3,300万円(ざっくりいうと3,000万円程度)が老後資金の必要額であると結論づけられます。
1−3.ひと月あたりの老後生活費の内訳
では具体的に老後の生活費はどのような費用に充てられるのでしょうか?下記のひと月あたりの生活費の統計をご覧ください。
60歳以上の無職一人暮らしの標準生活費
(平成28年総務省統計局家計調査報告)
ひと月あたりの生活費 | ||
非消費支出(税金など) | ¥12,445 | |
消費支出 | 食料 | ¥36,200 |
住居 | ¥12,402 | |
光熱費、水道代 | ¥12,643 | |
家具、家事用品 | ¥5,512 | |
被覆及び履物 | ¥4,217 | |
保健医療 | ¥7,967 | |
交通、通信 | ¥12,480 | |
教育 | ¥27 | |
教養娯楽 | ¥17,374 | |
交際費 | ¥19,172 | |
その他 | ¥15,965 | |
非消費支出+消費支出の合計額 | ¥156,404 |
1−4.その他に想定される出費
あくまでも無職一人暮らしに限った標準生活費の内訳にはなりますが、老後の指標としてご参考いただけるかと思います。
上記以外にも以下のような出費が想定されます。「知らなかった」では済まされないので、しっかりと把握しておきましょう。
①住宅のリフォーム費用
老後を迎えるタイミングで、手すりをつけたり段差を無くすなどのリフォームを検討することが多くなります。リフォームにかかる費用は箇所によってピンキリですが、数十万円〜数千万円となります。安心な老後を迎えるためにもリフォームの費用も考慮しておくべきでしょう。
②冠婚葬祭における費用
老後は冠婚葬祭の機会が非常に多くなります。子や孫の結婚や、知人のお葬式など、冠婚葬祭にまつわる費用が加わることも想定しておかなければいけません。具体的には1回あたりのご祝儀が3万円、不祝儀が3000円〜1万円程度必要です。最低でも年間10万円程度は準備しておきたいところです。
③寿命の上昇に比例して増える生活費
現在、日本人の平均寿命は上昇しています。直近の40年間を見てもおおよそ10歳程度の寿命の伸びが確認できます。現在あなたが30代だとしたら老後を迎える頃には平均寿命がさらに10歳分伸びている可能性もあります。つまり、追加で10年分の資金が必要になる可能性があるということです。
少し大袈裟な想定にはなりますが、可能性としては十分考慮するべき費用であることは間違いないでしょう。
1−5.老後資金のシミュレーション
前述した通り、本当に必要な老後資金はひとりひとり異なります。例えば、住宅ローン、借金、年金、ライフスタイル、怪我や病気など、あらゆる周辺要素を含めて資金が決まります。そこで、本当に必要な老後資金を知りたい方は詳細なシミュレーションを行うべきです。
老後資金シミュレーターにはたくさんの種類がありますが、そのほとんどが夫婦生活を想定したものばかりです。こちらの『老後生活費のシミュレーション』の場合、一人暮らしと夫婦暮らしの2つのパターンを別々で計算することができるので非常にオススメです。
また、具体的な計算方法はこちらの『老後に必要な金額を計算する「公式」がついに完成!』にわかりやすく記載されておりますのでご参考ください。
2.今のうちにしておくべき5つの準備
老後資金は約3000万円が必要になりますが、そのために少なくとも以下の5つの準備について知っておくべきでしょう。
- 貯金
- 年金
- 保健
- 退職金
- 資産運用
それぞれ具体的に解説していきます。
2−1.貯金の準備
最も手堅く、優先的に行うべき老後対策でしょう。もし、今まで計画的に貯金をしてこなかったのであれば、今の自分がどれくらい貯金をするべきなのかを把握し適切に行動しましょう。夫婦における必要老後資金と年齢別の貯金額早見表は以下の通りです。(※60歳まで貯金をすることを想定)
【年齢別】豊かな老後を迎えるためのひと月あたりの貯金額早見表
2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 | |
25歳 | 47,000円 | 71,000円 | 95,000円 |
30歳 | 55,000円 | 83,000円 | 111,000円 |
35歳 | 66,000円 | 100,000円 | 130,000円 |
40歳 | 83,000円 | 125,000円 | 166,000円 |
45歳 | 111,000円 | 166,000円 | 222,000円 |
50歳 | 166,000円 | 250,000円 | 333,000円 |
2−2.年金の準備
結論から言うと、年金の受給額を増やすことは可能です。現行の年金制度では、年金の受給が開始されるのは65歳からとされていますが、受給開始のタイミングを後ろにずらすことで、受給額を増やすことが可能になるのです。
老後基礎年金の繰り下げ受給
年金の受取開始時期を先延ばしすることで、受給額を増やすことのできる制度です。先延ばしできるのは最長で70歳になるまでの60ヶ月分です。具体的には、ひと月繰り下げるごとに受け取れる額が0.7%増額になります。この制度を利用するにあたっての注意点などの詳細は『日本年金機構の老後基礎年金の繰下げ受給』のページにてご確認ください。
例えば、年間で78万円の年金を受給できる人が、66歳から受給を開始する場合、12ヶ月×0.7%=8.4%の増額となります。これを月々に換算すると、受給額が月に5,000円ずつアップする計算になります。特に女性の場合は平均寿命が長いので、先々のことを考えて繰り下げ受給を利用すると、効率的な老後資金の運用が可能になることでしょう。
ただし、年金をもらえない期間が発生してしまうことも事実です。計画的に貯金ができない方、年金の受給がないと生活が苦しくなってしまう方は、この制度を取り入れない方が賢明です。
2−3.保険の準備
保険を利用することで老後資金を賄うこともできます。特に『低解約返戻金型終身保険』が老後の資産運用としても非常に効率的な保険であると言えます。
低解約返戻金型終身保険とは
保険料の払い込み期間中の解約返戻金が低い代わりに、保険料が安く設定されている終身保険のことです。保険料を払い込むまでの期間は解約返戻率が100%を下回り、解約すると損をしてしまう仕組みではありますが、払い込んだ後の解約返戻率はそれまでの保険料を上回ります。つまり、長く加入し続けていることによって大きな老後資金が受け取れるということです。
あくまでも例ではありますが、以下の表をご覧ください。
年齢に対する返戻率(通常タイプの保険の場合|30年満期) | |
年齢 | 通常の保険 |
40歳 | 27% |
45歳 | 78% |
50歳 | 88% |
55歳 | 91% |
60歳 | 95% |
65歳 | 100% |
70歳 | 105% |
年齢に対する返戻率(低解約返戻金型終身保険の場合|終身) | |
年齢 | 低解約返戻金型終身保険 |
40歳 | 29% |
45歳 | 66% |
50歳 | 73% |
55歳 | 75% |
60歳 | 77% |
65歳 | 79% |
70歳 | 81% |
71歳 | 116% |
72歳 | 117% |
73歳 | 118% |
74歳 | 119% |
75歳 | 120% |
通常タイプの保険(30年満期)の場合だと、30年目になった時点で返戻率の上昇がストップします。しかし、低解約返戻金型終身保険の場合は30年以降で急激に返戻率が上昇します。
特に女性は平均寿命が長いため、老後の生活資金のことを考慮すると、あらゆる保険のタイプの中でもオススメできる保険だと言えます。
2−4.退職金の準備
退職金をより多くもらうためには、長く勤めることが代表的な対策です。ただし、退職金には、額を決めるルールや法律が存在していません。それぞれの社内規定によって評価基準が異なるのです。
とは言っても、多くの企業は『勤続年数』を第一の指標にしていることが多いです。たとえば、東京都産業労働局の調査によると、『50%以上の企業は最低でも3年以上は勤めていないと退職金を出さない傾向にある』とされているとのことです。
特に女性は家事や子育てのために退職する機会が多いかと思いますが、最低でも3年は勤めることを想定して就職活動、転職活動を行うと良いでしょう。
2−5.資産運用の準備
資産運用をすることで、将来受け取る金銭の上限値を跳ね上げることが可能です。いわば資産家になる可能性が高まります。例えば、不動産を所有しているおじいちゃん、おばあちゃんも多くなってきましたが、そこで得た資金を、新たな投資にまわしたり、悠々自適な生活を送ることを可能にしているケースも存在しています。
ただし、資産運用をするべき対象は、既に3000万円の老後資金を集められる見込みのある方のみです。それ以外の方は、まず貯金や年金のような確実に老後資金を確保できる方法から実行するようにしましょう。
老後資金を準備するためにオススメな資産運用方法は以下の3つです。
①不動産投資
最もオススメな資産運用の手法は不動産投資です。なぜなら、管理会社に業務を任せることでほぼ労力ゼロで実行することが可能であり、それに対するリターンが非常に大きい投資手法だからです。
また、賃貸需要の確かな不動産に投資をすると、毎月安定して家賃収入を得ることができます。貯金の場合は、老後の生活のために虎の子のお金を取り崩す必要があるので、どうしてもお金の不安がつきまといます。一方で、家賃収入であれば、使い切ってしまっても、翌月にはまた同額振り込まれてきますので安心してお金をつかうことができます。目減りしていくお金を気にすることなく、安心して老後を過ごすうえでも不動産投資はお勧めです。
不動産投資に関する詳しい解説はこちら『サラリーマンが不動産投資で毎月38万円の不労所得を得る超実践的手法』をご覧ください。
②投資信託
投資信託は、投資のプロフェッショナルに運用を任せる投資手法のことを指します。信託報酬という形での費用負担はありますが、プロに任せることの安心感とリスクを最小限におさえられる点が魅力です。
③株式投資
株式投資はリスキーだと言われがちですが、そんなことはありません。適切な判断をもとに株を保有することで継続的にインカムゲイン(分配金)を受け取ることが可能ですし、経済状況によっては売却することでキャピタルゲイン(売買差益)を得ることもできます。
以上、3つの資産運用方法を紹介しましたが、まずは初心者向けの投資の種類と、投資を成功させるための考え方を理解することも必要です。こちらの『【投資入門】これだけ読めばすぐ分かる!初心者向け投資の選び方』が非常に参考になります。ぜひご参考ください。
3.必要資金が準備できない場合どうなる?
老後生活を送るために必要な資金を集められない、もしくはすべての資産が尽きてしまい生活ができなくなってしまった場合、『生活保護制度』が適用されます。
生活保護制度とは、生活に困った人のための救済措置のことです。生活保護制度が適用になると、厚生労働省が定める最低生活費と、年金などの収入との差分を保護費として受給されるようになります。
ただし、この生活保護制度が適用になるためには条件があります。それは以下の通りです。
《生活保護を受けるための要件》
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
■資産の活用とは
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。
■能力の活用とは
働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。
■あらゆるものの活用とは
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。
■扶養義務者の扶養とは
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
引用:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
上記の要件を満たした方のみが生活保護制度適用となります。しかし、現在では、真っ当に働いて年金を手にした高齢者よりも、生活保護を受けている高齢者の方が、受け取る金銭が多くなっていると問題になっています。
生活保護制度はあくまでも国からの救済措置であることを忘れず、正しい人生設計をしましょう。
4.まとめ
老後の資金3,000万円を準備するのは容易ではありません。ただし、適切な準備をすることで貯めることは十分に可能です。
今回お伝えした内容をひとつの指標に、人生設計をしていただけますと幸いです。ぜひ、5つの準備を攻略し、最高に楽しい老後を実現させてください。
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