インフレとは、モノやサービスの物価が、上昇する経済現象のことです。
この記事では、インフレとはそもそも何か、デフレとの関係やインフレになる原因を、図解しながらわかりやすく解説します。
不動産投資体験談
目次
1 インフレとは
インフレ(インフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より高くなることを指します。
たとえば、リンゴ1個100円が相場だったとしましょう。この時、リンゴ1個と100円の価値は等しいと言えます。こうした価値のバランスは簡単には崩れません。
いきなりリンゴ1個1円で売れば、お客は殺到しますが長続きしませんし、いきなりリンゴ1個1000円で売っても誰も買ってくれませんよね。しかし、このバランスは長い時間をかけて変わっていきます。
いま「リンゴ1個=100円」で安定しているとして、これが「リンゴ1個=200円」で安定するようになったとします。
これは「リンゴの価値が(お金の価値に対して)上がった」もしくは、「(リンゴの価値に対して)お金の価値が下がった」と言えます。
このように、「お金の価値が下がり、モノが値上がりする状態」が「2年以上続く」ことを、インフレ(インフレーション)と呼びます。
2 インフレとデフレの違い
インフレがわかったところで、もう一度リンゴ1個の例を使って、インフレとデフレとの違いを見ていきましょう。
デフレ(デフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より低くなることを指します。
例えば、安定していた「リンゴ1個=100円」が、「リンゴ1個=50円」で安定するようになったとします。これは「リンゴの価値が(お金の価値に対して)下がった」もしくは、「(リンゴの価値に対して)お金の価値が上がった」と言えます。
このように、「お金の価値が上がり、モノが値下がりする状態」が「2年以上続く」ことをデフレーション(略してデフレ)と呼びます。
インフレとデフレの違いを簡単にまとめました。
3 インフレになる原因
インフレはどんなときに起こるのでしょうか。
簡単に言うと、世の中に出まわっているお金の流通量が多くなると、お金の価値が下がり、インフレになります。つまり、通貨の供給量が多い、もしくはモノが少ないことがインフレになる原因です。
では、具体的にインフレを引き起こすシチュエーションを見ていきましょう。
お金の価値が安くなる
財政政策で、政府がお金を稼ぎやすくすると、お金の量は多くなります。
減税することで、手元に残るお金は増えます。さらに、公共事業を増やすことで、国が消費者へ直接お金のバラマキができるようになります。
社会保障を増やせば、老後の不安は減るため、老後資金の貯め込みはなくなります。そして、所得再分配を増やしお金持ちから貧乏な家庭に富を移動することで、貧乏への心配も消えます。
これらの財政政策によって、人々はお金に余裕を感じるようになります。消費者が手元にお金を貯め込むことがなくなるため、お金はどんどんと流れて、お金の価値は下がっていくのです。
また、金融政策で日銀(日本銀行)がお金を借りやすくすることでも、お金の量は多くなります。
日本銀行が、民間銀行に貸し付けを行うときの基準金利を下げる(=公定歩合を下げる)ことで、お金のレンタル料を安くして、お金の価値は下がります。
または、日銀が市場から債券や手形を買って(=買いオペ)現金をばらまくことで、手元のお金が増えてお金の価値を下げるのです。
※買いオペは、通貨の市場流通量を調整する、公開市場操作手法のひとつです。
4 インフレでなにが困る?
では、インフレになったらどうなるのでしょうか。キリギリスのように遊んできた、借金だらけのAさんと、アリのようにコツコツ働き、1億円の貯金で年金生活を考えているBさんを例にしてみていきましょう。
インフレの問題点をまとめると・・・
モノが値上がり、貯金していたお金は目減りしてしまうため、貯金がある人は損してしまいます。さらに、お店では売り惜しみが発生し、買い物したくても売ってもらえません。
インフレの良い点をまとめると・・・
モノが値上がり、給料が増えるため、収入がある人は喜びます。さらに、借金は値上がりしないため、借金がある人も、増えた給料で返せてしまいます。
「値上がりする前に買いたい」とお客さんの購買意欲が向上し、モノを売る人は高く売れます。そして、インフレでお金の価値が下がるため、土地の価値が上がり、土地を持つ人は嬉しいですね。
一方、デフレになったらインフレと真逆のことがおきます。どの立場にいるかによって変わりますが、お金の価値とモノの価値のバランスがうまくとれていない状態は危険だとわかりますね。
5 インフレを解消するには
インフレはどのように解消されていくのでしょうか。
インフレは通貨供給量が多くてお金の価値が下がる状態でした。これを解消するには、通貨供給量を減らしてお金の価値を上げるようにします。
通貨供給量を減らすのに、政府は財政政策と金融政策で次のような政策をとります。
国民がお金を稼ぎにくくする財政政策
増税することで、手取りが減るから節約する人が増え、お金の価値が上がります。さらに、公共事業を減らしてしまうことで、国が消費者の収入を減らすことができるようになります。
社会保障を減らし、老後の不安が高まり、老後資金を貯め込む人が増えます。そして、所得再分配を減らすことで、貧富の格差が広がり、不安から消費せず貯金する流れが強まっていきます。
国民がお金を借りにくくする金融政策
日本銀行が、民間銀行に貸し付けを行うときの基準金利を上げる(=公定歩合を下げる)ことで、お金のレンタル料を高くして、お金の価値を上げます。
または、日銀が市場から債券や手形を売って(=売りオペ)現金を回収することで、手元のお金が減りお金の価値を上げるのです。
モノの値段を下げることで、お金の価値を上げることも
日本銀行が行う通貨取引(=為替介入)で円高に誘導することで、円の価値を上げることもあります。
お金を稼ぎにくく、また借りにくくするのは、財布のヒモを締めるイメージですから、この場合の金融政策を「金融引き締め」と呼んでいます。
ちなみに、デフレを解消するためには、全く真逆の動きになります。財布のヒモを緩めるように、お金を稼ぎやすく借りやすくするので、「金融緩和」と言っています。
これまで日本はデフレの状態が長く続いていたため、インフレの状態に傾けようと金融緩和を行うなど、政府の財政政策や日銀の金融政策に注目されています。
6 まとめ
いかがでしたか。インフレには問題点もありますが、いい点もあります。
ただ、モノの値段が上がるだけでなく、1円も使っていないはずの貯金の価値が実質的に減ってしまうなど、今後インフレが進みバランスが崩れたときの対策をとることも大切です。
インフレ対策について詳しく知りたい方はこちらで説明しています。あわせて参考にしてみてください。
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